Amazonのこのレビューを見て、思わず買ってしまった1冊です。
たとえば風邪をひいたとします。
飲み屋のお姉さんは「まあ、たいへん、早く帰ってゆっくり休んでね」と言います。
頭の中では「風邪が長引いたら店に来る回数が減るじゃない、第一、私に風邪を移さないでよ」と思っています。
一方、奥さんは「もう、私に移さないでね」と言います。
頭の中では「私まで倒れたら、あなたの世話ができないじゃないの」と思っているかもしれません。
でも、どちらの人の言葉が嬉しいかというと、打算で構成された飲み屋のお姉さんです。
というエピソードは本書には出てきませんが(すみません)、そういう話です。
このレビューを読んで、「えっ?なに?どういうこと?」という勢いで読みました。
岡田 斗司夫 |
昔から「評価社会」
日本は平安・鎌倉・室町時代から、生まれた家柄によって、その後に付ける役職が決まりました。
徳川家康の士農工商によっても、身分による絶対的な上下関係が構築されました。
身分の上の家柄からの評価に、経済性が加わり、評価経済社会となります。
近代社会においても、会社の身分が上の人からの評価が直接経済性に結びついている人が多いはず。
これが、ハイパー情報化社会(インターネットの普及やTwitte,Facebookの登場)によって、会社からの評価だけではなく、インターネット上の評価や実世界での評価も経済性がつきまとう時代になっているというのが著者の見解。
著者の岡田氏はFREEexという会社の代表だが、この会社が特に変わっている。
全社員は約150名で、社員が毎月1万円(年間12万円)を岡田氏に支払う。
これにより、岡田氏は生活をし、講演や出版物の執筆などをおこなっているという。
この著書自身も、印税は受け取らず、執筆しているらしい。
アニメ、エヴァンゲリオンなどを制作している会社「ガイナックス」の設立をしたのも岡田氏だということを本書で知った。
一時期、メディアで取り上げられていたレコーディングダイエットの提唱者も岡田氏らしい。
「いいひと」戦略
本書の面白いところは「いいひと」になるとしたときに考えられる反論を分析しているところである。
そのうえで、「いいひと」戦略を解いているが、戦術自身に特に目新しいものはない。
昔から言われているような、友だちが多くできるいい人ってこういうことができる人みたいなことが並べられているだけである。
だが、結局の所、反論があるからやらないのか、やった方が良いのかという結論をいくつかの事例をあげている。
その中で、1つの職業で生計を成り立てるのではなく、複数の職業で生計を成り立てる達磨さんや、Macbook Airをもらったニートのphaさんの話やギークハウスプロジェクトがそれぞれ、どうなりたっているか?という話が出てくる。
読み通してみて、経済性を生む可能性ということを踏まえると、冒頭のレビューにもあるように、飲み屋のお姉ちゃんの発言の方が良いのかも。
「いいひと」にこうやってなる。という本ではなく、通貨経済から脱却するための戦略をチェンジして、「いいひと」戦略をとってみてはいかが?という内容でした。
岡田 斗司夫 |