プログラマを育てる社会運動を日本にも起こしたい

アジャイル

ガッツとパッションあふれるプレゼンテーションを半年に1回ぐらいしている気がする@HIROCASTERでございませう。

でも、でも、本当は満足できていないんですよね。「よかった!」と感想いってもらったり、心や記憶に残ってもらったのは嬉しいけど、本当は相手の行動を変えるぐらいまでのインパクトがないとダメだと思ってるんです。

僕はそんなインパクトを受けた経験が何度かある。だから、僕はプレゼンテーションにはチカラを入れるし、ガンバるんだ!

今回は、インパクトを受けたプレゼンと社会運動の話。

それで、インパクト満載の動画がTEDのプレゼンテーションである。NHKのEテレで「スーパープレゼンテーション」という番組が始まっているので、これで紹介されるプレゼンテーションをまとめてはじめてみた。放送見逃した人もチェックしてね。

その中でも僕がインパクトを受けたのはこれ。

デレク・シヴァーズ 「社会運動はどうやって起こすか」 | Video on TED.com
百聞は一見にしかず。まずはこちらをご覧ください。

英語だとMovementとなっているが日本語だと社会運動が適切だろうか。

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社会運動とは?

現在の社会の状況の改善や社会問題を独自に提起したり、あるいは政府の社会政策に対して推進または阻止を求める者が、それらの希望を実現することを目的として同志を募り団結して目に見える形で行動(運動)し、世論や社会、政府などへのアピールを通じて、問題の解決をはかる動きを指す

僕が問題だと考えているのは、プログラマを育てたりスキルアップできたりするイベントがまだまだ足りないし、それを日本のソフトウェア産業に関わる企業の推進力が足りないということ。

これからの時代は、本当に子供が小さいうちからコンピュータに触って生活していくし、携帯電話の進化によってどんどんせいかつが便利になっていく。

一部のギーク達があつまって、特定の分野に基づいて学びあう事は必要だけれど、もっと根本的なソフトウェアの作り方なんかを学べるような場所や機会が必要だと考えている。

10代後半や20代前半の若い世代の人達がこれから“数多くのソフトウェア”をつくっていくことが容易に予想できるのだけど、我々が経験したようなクソな開発手法やデスマーチを経験させて、クソなソフトウェアの作り方を経験させるのはどうかと考える。

むしろ、我々のダメだった経験を踏まえて、シッカリとしたプログラマとしての土台を築いてもらいたい。

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Clean Coder プロフェッショナルプログラマへの道

Robert C. Martin、角征典

僕が考える社会運動

過去にTDD Boot Campなどを主催し、TDDを学ぶ機会を提供し、アジャイルを学ぶ機会を場を提供するためにAgile渋谷というコミュニティを主催している。

今度は Coderetreat というプログラマが集中して学ぶ機会を得られるイベントをやろうとしている。

CoderetreatCoderDojoは海外で動きがはじまったものである。そして、共通していえることがある。それは、学ぶ側が費用を負担する必要がないということだ。

なぜ、こういったことができるのかと考えると、スポンサーが費用を出しているからだ。ココで指すスポンサーというのは、会場を提供する企業は会場費(電気代等を含む)を提供しているし、飲食物を提供するスポンサーもある。

多少スポンサー企業の宣伝などができるだろうが、対価としての確実な利益はスポンサーとしては少ないはずである。

なぜ、スポンサーは金を出すのか?

photo by Mukumbura

海外にはチャリティやボランティアという考え方が日本よりも根強いので、そういった背景もあると考えている。

だが、本質的には人に対しての投資であると僕は考えている。

新人研修の時期なので、実感している人はとても多いと思うが、教えられる人よりも教える人の方が、学びが大きかったりする。

スポンサー企業として、お金を出した場合、その起業から参加者が出たり、教える側として参加するであろう。

その人数は2〜3人だとしよう。Coderetreatは20人程度おこなうので、ランチスポンサーは2万円程度だ。

スポンサー企業からの参加一人あたり、1万円におつりがくると考えられる。これで、テスト駆動開発を学ぶキッカケや実践的なテストの書き方を学んでくる。また、ソフトウェアの設計について頭をひねらして具体的な学びを得てくる。

もしかしたら、今の業務に関わるコードについて、今度これをやってみよう!なんて具体的な事を学んでくるかもしれない。

教える側として参加していた場合、新人が入ってきたら、プログラミングにおいて非常に重要なテストの考え方や設計の考え方を教える効率が特段と上がっているだろうし、気兼ねなくやってくれるだろう。新人でなくても同僚に教えてくれるかもしれない。

もしかしたら、こういった学習機会に積極的に学ぼうとするガッツとパッションあふれる人材がスポンサーに興味を持って転職してきてくれるかもしれない。(これは費用対効果が大きすぎる!!)

会社が研修をしたとすると

photo by Pedro Vezini

この様な学習ができる研修に1日通わせると、どれだけのコストだろうか?

仮に、1日の研修費用が1人5万円だとして、1日分の給料のコストがかかるわけであるから、相当かかりますね?ほらよ?ってあなたの会社が気軽に出せる費用でしょうか?2人参加するだけでも10万円以上かかりますよね?

以上のことを企業の視点から考えると、ローリスクハイリターンな投資である。

もちろん、投資しなければ、リターンなんてない。

わかっている企業とわかっていない企業

このローリスクハイリターンの構造をわかっている企業は、積極的にスポンサードをしてくれる。

なぜならば、社員がいつか(本当にいつか)自ら学んでくれて、業務を改善してくれるのを待っていては、会社は腐って優秀な人材は他の会社に移っていくことを知っているからである。

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「新・ぶら下がり社員」症候群

吉田実

もっと本質的なことをいってしまえば、こういったイベントがおもしろい。後押ししたいという理解のない企業であれば、素晴らしいソフトウェアを作り上げるための環境を準備して、本当に作り上げられる企業になろうというソフトウェアをつくりあげる者としての愛が足りないのである。

スポンサードして頂きたい企業

僕の個人的な意見としては、従業員100人以下の中小企業に積極的にスポンサーになって頂きたい。

この規模の会社であれば、従業員に対して十分に教育できる機会を提供できているか?と、問われると、まだまだやりたいことがあるに違いないからである。そして、従業員が声を出して行動を起こせば、会社全体を変えられる規模であるからである。

そして、ビジネスでソフトウェアづくりに失敗するのは非常にダメージの大きい企業サイズだからである。

だからこそ、こういった失敗をしても、やり直しても、良い機会(勉強会やイベント)を与え、学びを与えるべきなのです。本番のビジネスで失敗する確率を下げ、成功飛躍するためにも。

なにもせずに、ぶっつけ本番をやる人と、やってみた経験があって、失敗して何かを学んだ人だと、どちらが成功する確率が高いと経営者は考えますか?あなたが投資家だったら、どっちに投資しますか?あなたは、どっちの存在になりたいですか?

僕の経験

僕自身はソフトウェアの開発方法やスキルを会社で教えてもらったことはありません。だからこそ、働き始めの頃はとても苦労しましたし、クソなソフトウェアをつくって、クソな開発方法をとって、ビジネスとしても成功はしていたといいがたい状況でした。

ですが、コミュニティやイベントに自らコストを払って学び続けることによって、多くのキッカケや学びを得ることができて、ある程度自信を持ってソフトウェアをつくれるようになったし、人に教えられるような知識も数多くなってきました。

これは僕の努力の結果だけではなく、これを支えてくれた周りの人達やスポンサードしてくれた企業のおかけです。会場を提供してくださるスポンサーだけでも50人を超えるような大きな会場提供は、電気代だけでもそれなりにお金がかかります。

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コミュニティ・オブ・プラクティス―ナレッジ社会の新たな知識形態の実践 (Harvard Business School Press)

エティエンヌ・ウェンガー、リチャード・マクダーモット、ウィリアム・M・スナイダー、櫻井 祐子、野中 郁次郎、野村 恭彦

プログラマを育てる土壌を日本に

ただ、僕と同じ事をやって学ぶためには、時間もお金もかかるし、つらいこともあります。

プログラマになりたいんだ!と思った熱い気持ちがある若いときに、僕が学んできたような事を気軽に学べるような土壌を社会が提供できるようになったら、日本のソフトウェア産業は本当に変わるのではないかと考えるのです。

3年以上かけてアジャイルを学んだら、それを半年から1年で新たな世代には学んで欲しい。僕たちが協力していくことができれば、それは実現可能なことだと思っています。そうすることによって、僕たちが新たなステージに向かってすすむことができるし、会社や産業が良い方向へ確実に変わることだと僕は考えます。

アジャイルを知ったのが10年以上前、アジャイルをやるようになったのが3年前。

テストコードを書くようなプラクティスを真剣に学び実践したのが3年前。初めてプログラムを書いて悩んでいたのが10年以上前。

もうなんか、気の遠くなるような回り道ですよね?

実際本気になってやったのなんて、3年ぐらいだし、もっと仲間やマスターセンセイや先輩や経験者がいたら、もっと効率よくできたはず。

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アプレンティスシップ・パターン ―徒弟制度に学ぶ熟練技術者の技と心得 (Theory in practice)

Dave H. Hoover、Adewale Oshineye、柴田 芳樹

だから、成長したい気持ちのある人が無料で学ぶような機会は提供したいし実現したいと思うのです。僕たち自身の成長のためにも。

まとめ

あらためて、この場をかりて、Agile渋谷の活動などに会場提供などの形でスポンサードしてくれる企業にありがとうございます。という言葉を伝えます。

そして、新たに僕の考えに賛同してくださる企業関係者の方々にはスポンサードを積極的にお願いしたいと考えています。

次回のCoderetreatのスポンサーは決定しましたが、今後、何度か継続的に開催していきたいと考えています。

東京だけでなく、地方でもプログラミングやテスト駆動開発やアジャイル開発を学ぶ機会を開催したいと考えています。

スポンサードして頂ける方は、こちらからご連絡頂くか、Facebookにてご連絡ください。

次回のスポンサードや地方開催などについて、相談ご連絡いたします。

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