世界的に有名なったビジネス手法である「リーンスタートアップ」は現時点で、この2冊しか本が出版されていない。
リーン・スタートアップ ―ムダのない起業プロセスでイノベーションを生みだす エリック・リース、伊藤 穣一(MITメディアラボ所長)、井口 耕二 |
Running Lean ―実践リーンスタートアップ (THE LEAN SERIES) アッシュ・マウリャ、渡辺 千賀、エリック・リース、角 征典 |
前書は提唱者であるエリック・リースによる著書であり、今回取り上げる本書はエリック・リース氏自身によって、監修されているTHE LEANE SERIESによる第一弾書籍の翻訳版です。リーンスタートアップの実践ガイドです。
Running Lean
特に本書はWebサービスをビジネス展開させるときに、リーンスタートアップの手法として具体的にどのような行動をしていくのか?提示されていることが非常に役立つ。
- リーンキャンバスの使い方
- 具体的なインタビューの考え方・やり方
は、とても役に立ちました。私自身、リーンスタートアップのような手法を実際に試して、ビジネスをおこなってきた経験がありますが、インタビューなどは別な専門のチームなどが対応していたため、どのような考えで組み立てられて、実施しているのか詳しくは知っていたなかったので、多くのことを学ぶことが出来ました。
本書はCloudFireという実際に著者がWebサービスとして展開したサービスを元に、リーンキャンパスを書き、インタビューを通して、キャンパスを書き直していきます。
最初の時点では、動くソフトウェアなど一切ない状態でインタビューを実施し、キャンバスを書き直して行く様子は「なるほどなぁ」と感心すると同時に、とても説得力があります。手元に何もなくても、ここまでビジネスを固めていくことができるのか…。と目から鱗が落ちます。
MVPとUVP
実用最小限の製品(MVP)とUVP(独自の価値提案)というリーンスタートアップ独自の用語があります。この考え方は、今やプログラマが一人でWEBサービスを提供することができるようになった時代ですので、何かサービスをつくりたい。提供しているプログラマに、役立つと考えています。
実用最小限の製品(MVP)
ついつい、大きくなりがちな製品の最初のリリースをリーンスタートアップでは、実用最小限の製品(MVP)にすべきであると考えられています。では、具体的にどのように大きくなりがちな最初のリリースを縮小化していくのか本書に書かれている内容を抜粋します。
- 白紙からはじめる
- 最上位の課題から着手
- 「あればうれしい」「必要ない」は削除
- これを繰り返す
- 顧客の昨日要求を検討する
- 初日から課金する、ただし、徴収は30日後。(課金実装はリリースから30日後まで遅らせることができる)
- 最適化ではなく学習に集中する
この様に具体的な手順について、本書には記載されています。まさに、実践的なリーンスタートアップの参考書です。
この本もリーンスタートアップ的につくられている
このRunning Lean自体の書籍もリーンスタートアップ的な方法で、執筆されている点も面白いです。
- 最初は書影と目次だけ公開して、反響を見る
- 2章ずつ公開してフィードバックを得る
こうやって、電子書籍として第1版が作成され、第2版として書籍ができました。本書は第2版の翻訳版となります。
発売当初から在庫なしの状態だったAmazonに、やっと在庫が確保されたようなので、この機会にぜひ手に取ってみてはいかがでしょうか。
Running Lean ―実践リーンスタートアップ (THE LEAN SERIES) アッシュ・マウリャ、渡辺 千賀、エリック・リース、角 征典 |