宮崎駿の映画づくりから学ぶ、プロとしての意志

雑記
橋本さとし

現在、放映中の「コクリコ坂から」は、宮崎駿が脚本をつとめ、息子の宮崎吾朗が監督をつとめた作品です。この2人を10ヶ月にわたって取材をしたドキュメンタリー「ふたり」が8月9日(火)にNHKで放送されました。非常に残念なことなのですが、僕はこの番組を途中から見ました。過去にいくつか、宮崎駿のドキュメンタリーを見ていますが、どのドキュメンタリーも素晴らしいと感じられる内容が詰め込まれています。宮崎駿自身に魅力があるからでしょう。NHKオンデマンドでも放送されてないので、再放送しないかなぁ。と期待しているところです。過去のドキュメンタリーが懐かしくなったので、このDVDを買いました。

このDVDはNHKで放送されていた「プロフェッショナル」という番組の内容です。当時制作していた「崖の上のポニョ」の時のドキュメンタリーです。

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理想を忘れない現実主義者

これは「崖の上のポニョ」の制作に入る際に、現場のスタッフに向けて、「覚え書き」を宮崎駿が書いてるシーンでの言葉です。「理想を持たない現実主義者は最低だ。」とも話していました。そして、自らは理想を忘れない現実主義者でなければならないと述べています。僕はこの言葉に非常に共感が持てました。僕は開発の現場にも理想を忘れない現実主義者が必要だと考えていたのです。特にアジャイルソフトウェア開発手法を導入したいと考えている現場の人たちは、理想を忘れない現実主義者でないとアジャイルは成功しないと考えています。アジャイルの考え方はとても現実主義です。アジャイルではできていないものは、できていないのです。そして、今から何ができるかが重要であり、理想に近づける最大限の行動を現実的に何が出来るのかを見極めて実施していくのです。そして、また理想に近づける振り返りをして、どんどん理想に、現実的に近づけていくのです。

半分素人で半分プロ

この考えにも共感しました。仕事において、僕自身は「プロだから」という100%の考えはシックリ来てません。もちろん、一部そう思うべき所はあります。ですが、半分素人で、好きでやってないとできないことって多いですし、そういったことをした経験がある人とない人の差は大きいと考えています。仕事だから儲かるものを儲かるようにつくる。というのは出来るのでしょうが、宮崎駿は儲かるからアニメーションを制作するようになったのではないと思います。アニメーションが好きなんです。人を喜ばせることが好きだからアニメーションを制作するともDVDでは話しています。さらに自分がつくるアニメーションから自分が気づくことが多くあるようです。自分が思いもしなかったことがアニメーションをつくっていて出会うのでしょう。それが好きじゃないとそこまで苦悩して、制作し続けられないのではないだろうかと僕は受け取りました。

大震災あとでも現場は稼働させる作り手としての強い意志

制作期間中に、まだ記憶に新しい東日本大震災がありました。震災後の3日間は余震の危険があるため制作スタッフは全員自宅待機のようでした。その後、一部ジブリスタジオ幹部が会議をした結果、「社員の混乱をきたすため、一時的に休業」という結論を出しました。

この結果を聞いた宮崎駿は激怒します。「誰が混乱するっていったんだ!?」と大声を上げて会議に参加していたメンバーに訴えます。会社に来れない理由があるものは仕方が無い。だが、これるスタッフは会社に来て欲しい。こんな時だからこそ、制作を止めてはならない。というのが宮崎駿の意見でした。

経営者の意見だと現場のスタッフを考慮して休業にするところだろうというのが僕の考えです。ですが、このとき、宮崎駿は作り手としての断固とした強い意志を感じました。大震災という悲しい現実が、今起きていて、自分ができることをやらなくてどうするんだ。1日でも早くこの映画を届けて、復興の兆しとなり、誰かの心を救わなければ。そんな、作り手として出来ることを最大限にやらなければならない。僕らはコレをやらなければいけないんだ!という強い意志と怒りが表れたシーンが、NHKで放送された「ふたり」というドキュメンタリーでありました。映画の内容も戦後の港町をテーマにした内容なので、まさに今。というのもあったのでしょう。本当に今公開されたのは正解でしょう。これが冬や来年になったら、や感じ方が違うのではないでしょうか。

まとめ

というようなドキュメンタリーを見てから、ジブリ映画を見るようにしています。むしろ、ドキュメンタリーの方がおもしろいとも思っています。「ふたり」は再放送が決定していないので見れませんが、DVDで宮崎駿の考えは垣間見れると思います。ぜひ、ジブリ映画が好きな人には、宮崎駿のドキュメンタリーを見てから映画館へ行くことをおすすめします。

高橋 千鶴¥ 620
橋本さとし
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