「強いチームはオフィスを捨てる」在宅・遠隔勤務の時代がやってきた

プログラミング
本書は従業員は43人、世界30都市に遠隔で働く、在宅・遠隔勤務について、実践している会社のノウハウを書籍にまとめた1冊です。

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魅力的な働き方を提供するBasecamp(37Signals)社

社名を「37Signals」から主要プロダクトと同名の「Basecamp」へ変更したBasecamp社の働き方についてまとめられた1冊である。同社は1500万アカウントを超えるプロジェクト管理ツールであるBasecampを提供していることやRuby on Railsの開発者であるDHH(David Heinemeier Hansson)氏がパートナーとして在籍していることで知られています。
最近ではRuby on Rails 作者David Heinemeier Hanssonが語るオンラインでお金を生み出すためのたった1つの方法というプレゼンテーションの記事が話題になりました。
前著の「小さなチーム、大きな仕事」では、現在の多くのベンチャー企業が大金を追い求め、会社の規模を成長させることに対する反論をまとめ、話題になりました。
そんなとてもユニークな会社には従業員は43人、世界30都市に遠隔で働く従業員がいます。本書は彼らがどのようにして在宅・遠隔勤務を成功に導いたのかが伺い知れる1冊になっています。
本書の原著のタイトルは「Remote: Office Not Required」なので、企業にオフィスを捨てろといっているのではなく、オフィスに縛られることなく働く形を見いだすことを本書の内容では伝えています。


リモート・ワークは万能ではない

米Yahoo!のマリッサ・メイヤーCEOが2013年2月に在宅勤務契約になっている従業員に対して6月からオフィスへの出勤を求めるメモが流出したことは記憶に新しい。
この件について

メイヤーCEOは基調講演で、「これまで避けてきた重要な話題について話さなければならない」と語り始めた。「在宅勤務は今現在のYahoo!にとっては適切ではない」とし、「人は1人でいる方が生産性は上がるが、集団になった方がイノベーティブになる」と強調した。

生産性の向上について認めているかのようなコメントである。
本書でも在宅・遠隔勤務は魔法のような万能な勤務形態でない事を指摘してる。リモート・ワークでは得られないものがある。

  • 仲間との顔をあわせる機会がなくなる
  • 仕事モードの切替が難しい

など、具体的なデメリットについて認識してからリモート・ワークのメリットについて深く掘り下げていってます。

リモート・ワークは思っているよりも普及している

本書に指摘されるまであまり意識したことがなかったが、身近なところにも昔からリモート・ワークは存在しています。例えば、あなたが勤務している会社の弁護士や税理士、給与計算などのバックオフィス業務、広報など外部の会社を利用していませんか?
どれもビジネスに欠かせないような業務を外部に完全に任せているのです。それでも、現実にうまくいっている。外部の人間にはリモートワークを任せられて、内部の人間には任せられないのか?そう考えてしまうと、おかしな話しである。私たちが思っているほど多くのことがリモート・ワークで回っている。

リモート・ワークのメリット

リモートでも仕事ができることを前提にするだけで、他の企業を比べると大きな優位性がでてくることが本書を読むとわかる。
まず、人材を採用する幅が広がることである。オフィスに勤務できる人に限定されないので、言語的なコミュニケーションなどが問題にならなければ世界を対象に人材を見つける事だってできる。
日本国内だけで考ても、地方に優秀な人材はいる。採用競争率の激しい首都圏で中途半端な人材を採用するよりも、優秀な人をリモート・ワークで採用できる事の方が企業としてメリットは大きいのではないだろうか。この際にポイントとして、本書では地方だからといって賃金を抑えずに、首都圏と同様の賃金を支払うべきだとまとめられている。
これはリモート・ワーカーとしては、地方で首都圏並みの賃金を得られるメリットがある。企業としては、優秀な人材が勤務し続けてくれる。なぜならば、地方の企業でわざわざ首都圏並みの賃金で雇うような企業はほとんどいないからだ。
Basecamp社ではこういった理由から何年も勤続している優秀な人材もいるらしい。また、仕事をしながらちょっとした旅行をしたり移住をしたりなどもできる。家族みんなで違う国に移り住むことだってできる。

日本でのリモート・ワークは?

インターネットサービスを提供している海外企業の有名どころで、リモート・ワークを活用しているのは

などが本書であげられている。一方で、日本企業ではどれぐらいあるのだろうか?

などはリモート・ワークでの働き方があるようだ。他の会社もあったら、ぜひ教えて欲しい。
ハートレールズに勤める荻野氏が、在宅勤務についての経験や環境を発表している資料があるので参考にして欲しい。

リモート・ワークは普及していくのか?

私の最近の経験では、ひたすらコードを改修していくような期間が数週間続いているようなときは、数日は自宅勤務ができたら嬉しいと心底感じた。その時は寝ても覚めても、そのコードのことを考えているし、通勤時間でさえコードを改修したいような心境だったからだ。こういった状況では家庭環境も徐々にすさんでくる。
今は週に1日ノー残業日があるよりも、リモート・ワークの日がある方が嬉しいと考えている。通勤時間が削減されるだけで、家族との時間やプライベートも充実するだろう。そういった形の働き方を望む優秀な人材も増えるだろう。
国内の中小企業であれば、高水準な賃金を提供するのは難しくても、こういった柔軟な働き方を提供することはできるのではないだろうか。提供することができれば優秀な働き手の人材確保が優位になるはずだ。
企業がリモート・ワークを実施する上で気をつけなければならないこと、個人が気をつけなければならないこと、具体的に実践してきたBasecamp社の働き方から学べることは多い。
リモート・ワークを実践する国内企業が増えることを期待しています。私もそういった企業で働きたいものです。

強いチームはオフィスを捨てる: 37シグナルズが考える「働き方革命」

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ジェイソン・フリード, デイヴィッド・ハイネマイヤー・ハンソン, 高橋 璃子

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